Water Library 014

・・水のほん“Water Library ”・・・

~・~・水にときめいて・~・~

 

 

今日は秋のお彼岸のお中日。雨の中、お墓参りの方もいらしたことでしょう。

 

仏教と水には、深いかかわりがあります。

 

仏壇やお墓には必ずお水をお供えします。潅頂という密教の儀式では、阿闍梨より法を受けるときに水を頭に注ぎます。飛鳥時代につくられた法隆寺の百済観音像は、左手に水瓶(すいびょう)をもち、瓶の中には“大悲水(功徳水)”が入っていてこの世の苦しみや悲しみをやわらげてくれる有難いお水が入っていて、いくら使ってもなくならないのだそうです。右手にはあらゆる宝を生む如意宝珠が乗っていたといわれています。3月に行われる東大寺二月堂の修二会、お水取りも、たいへん神秘的な儀式です。

 

さて、今回ご紹介したいのは、「白隠禅師 健康法と逸話」という本です。

 

臨済宗中興の祖として有名な白隠禅師は、江戸時代中期1685年(貞享2年)12月25日に、東海道五十三次に出てくる原宿(現在の沼津市原)に生まれました。

 

著者の直木公彦氏(本名 上村厚一氏)は大正7年生まれ。北海道帝国大学工学部を卒業し、朝鮮総督府の技師、水原農林専門学校農業土木科教授となり、その3年後敗戦とともに引揚げてきて、北海道大学工学部教官になりました。その後、道庁帯広土木現業所治水課長として従事中に喀血、結核で入院(昭和24年)。このとき某氏に白隠禅師の『夜(や)舟(せん)閑話(かんな)』を教えられ実習したところ、大いに助けられ、入院患者に求められて内観の法を教えて効果が著しいのに驚いて、白隠の研究を始めたそうです。

 

昭和32年、建設研修所(建設大学校の前進)沼津支所長建設機械の研修中に良い親孝行な学童の交通事故死にショックを受け、重く受け止め考えた末に、交通事故防止用の大型地下道の開発発明を発心。しかし6年後発明に行き詰まり無力感と恐怖感にさいなまれ、白隠禅師に祈ると心身が震えだし失神してしまいました。ところが突如、白隠禅師の大喝(だいかつ)一声が頭上高く聞こえ、われ鐘のように響き、この世に生還し意識が回復しました。その瞬間アイデアがひらめいたそうです。

 

その後小松製作所を経て、植村技術工学株式会社を昭和40年に創設。交津渋滞の緩和、交通事故防止のための画期的なトンネル工法を完成(特許350件以上、施工実績内外あわせて1200数十件)させたそうです。

会社経営中、困窮の折、白隠禅師に祈り、その声を聴き幾多の困難を脱して今日に至るそうです。

 

直木さんが書き上げたこの本には、白隠禅師の人と仕事が記され、かつ「内観の法」や「軟酥(なんそ)の法」の実習と効果について述べられています。

ここに出てくる白隠禅師にまつわるエピソードを読ませていただきますと、白隠というお坊様がいかに数奇で謎めいた経歴を持ち、それでいて実に人間臭く、民衆に溶け込んでいて親しみやすいお人柄だったかがうかがえます。白隠禅師の自画像は、大きな目を見開いた禅僧の姿に、ご自分のことを醜悪な禿坊主だとユーモラスな賛を添えています。そこには徹底した自己否定を見てとれます。

 

白隠禅師は数多くの書画やたくさんの著作を残し、また仏教の教えを説いた『座禅和讃』という和讃も残しました。和讃というのは、念仏の教えを七五調で平易に説いたものですが、座禅和讃は次のような言葉ではじまります。

 

   衆生本来仏(しゅじょうほんらいほとけ)なり

        水と氷のごとくにて

   水を離れて氷なく

        衆生の外(ほか)に仏なし

   衆生近きを知らずして

        遠く求むるはかなさよ

   譬(たと)えば水の中に居(い)て

        渇(かつ)を叫ぶが如(ごと)くなり

   長者の家の子となりて

        貧里(ひんり)に迷うに異ならず

   六趣輪廻(ろくしゅりんね)の因縁(いんねん)は

        己(おのれ)が愚痴(ぐち)の闇路(やみじ)なり

 

おわりには、

   三昧無礙(さんまいむげ)の空ひろく

        四智円明(しちえんみょう)の月さえん

   此(こ)の時何をか求べき

        寂滅現前(じゃくめつげんぜん)するゆえに

   当処即(とうしょすなわ)ち蓮華国(れんげこく)

        此の身即ち仏なり

 

と締めくくられています。

 

直木さんは本書はしがきで、禅師は健全な笑いやおもしろいエピソードをふんだんに持っているので、ぜひ本書を読んでみてくださいと勧め、苦しみ悩みまよっている方々に向けて、病床、学問事業、家庭愛情その他人生問題で生きる力を失いつつある方々に向けて呼びかけます。

 

願わくば、本書の中の禅師の教示により心身ともに力を得るとともに天地宇宙の生きてはたら聖なる力により、あなたの内部にひそむ霊的新生の力を発見、自覚されて、身心ともに勇壮活潑にならんことを。

 

「汝ら即ち仏なり、地球即ち仏なり、世界を平和の楽園に創ることこそ汝らの勤めと言わで何という。地球平和の大願に相うち乗りて極楽の建設歩むこそ仏子の使命に非ざるや。」

という禅師の声が耳にひびいてくるようだと述べています。

 

あとがきでは、「「これらの本[夜舟閑話、遠羅天(おらて)釜(がま)]は万人必読の書である」と信念を抱き、素人なるがゆえにこの不朽の名著の意訳は困難にぶつかったりしたが、不思議な導きにより、北海道から突然に白隠禅師の住した松蔭寺や龍澤寺の近くの沼津に転勤させられ、参学の便宜が与えられ、機が熟してこの本を日本教文社から世に送られることになった」と書き、つぎのようにも書いています。

 

人間はまず健康第一に生きねばなりません。

禅師は自己身心改造の大事業を突進する力と健康を与えてくれます。まことにありがたいことです。

 

この本は平成14年には45刷目を発行し、白隠禅師の足跡が今もなお人々に受け継がれています。この書に説明されている『夜舟閑話』を江戸時代後期に生きた良寛和尚も読んでいたそうで、養生法“内観の法”を実行し寒気もしのぎやすくなったと伝えられています。

 

内観の法とは、床の上に天井を向いて横たわり、かるく目をとじて両手両足を適当にひらき、力をぬきます。首、肩、背骨、腰、脚の筋肉、骨の力をすっかりぬいて、口も少しひらき、肛門も生殖器の筋肉もゆるめ、内臓の力もゆったりとして、肉体のどこにも力が凝らないように全身を屍のようにだらりとうちまかせます。そうして両手足を長く強く踏み揃えて力を腰から下に入れて静かに呼吸をし、多少気が落ち着き始めたら、今度は深くゆっくり呼吸をし、吸い込んだまま息をかすかにとめます。とめてから、下腹に落とし入れるような感じで静かに細くゆっくりと吐き出します。

そうするとこの下腹(気海丹田)がふくれて力がみたされた感じになり、元気を満たしながら上記の腹式呼吸をつづけます。内観の四句を観じて精神を統一し深く内観します。まずは一切の小智と才覚、「我」「執着」をすてます。

(2016/9/23)

PKIB23

 

【14冊目】Data

   白隠禅師 健康法と逸話

  著者 直木公彦(なおききみひこ)

  日本教文社    昭和30年9月初版

 

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