008.はやあきつひめのかみ

・河口、海に関わる神さま

   速秋津日子神(はやあきつひこのかみ)   別名:速秋津日命

   速秋津比売神(はやあきつひめのかみ)   別名:速開都比咩(はやあきつひめ)〈祓詞、大祓詞〉、

                                    速秋津日命


 

名義として速秋津日子神さまは「勢いの早く盛んな、河口の男性」であり、

速秋津比売神さまは「勢いの早く盛んな、河口の女性」です。

 

「速」は神威(かむい)の速度に関する美称です。「秋津」の秋は開(あき)の借字で「口が開いている、開け放たれている」こと、「津」は港の意味があります。古代では海を渡る船が停泊するところ=港として多くは河口を利用してきました。湾が利用されるのは少し後の時代です。日子(比古)は彦(ひこ)で男性、比売は姫で女性を表しています。また、「速」は進む、「秋津」は明津で禊祓(みそぎはらえ)によって明らかに清まるという意味もあります。これは水の流れで禊(みそぎ)をして穢れ(けがれ)を祓ったもので、流れの速さも意味していますが、河口は潮の干満の速さに左右されることから出たお名前であるとも考えられます。

 

この2柱の神さまは古事記や日本書紀ともに伊耶那岐命(いざなぎのみこと)さまと伊耶那美命(いざなみのみこと)さまの国生みに引き続き、山川草木の神々さまを生む中に誕生されています。古事記では、伊耶那岐命(いざなぎのみこと)さまと伊耶那美命(いざなみのみこと)さまが家々に関連する神々をお生みになられたのち、海神さま1柱(大綿積見神(おおわたつみのかみ))、水戸神(みなとのかみ)さま2柱をお生みになられました。この三柱の神さまは「海神三柱」と言われています。

この三柱の神さまのそれぞれの御子神(みこかみ)さま方が海神さまや河神さまなどになられました。その一族が水に関する一切の役割を分担されています。

 

速秋津日子神さまがお生まれになった後、妹(いも)として速秋津比売神さまがお生まれになっています。「妹(いも)」は妹子(いもこ)であり、昔の夫に対する「妻」を表しています。このことからこの2柱の神さまは夫婦神であることがわかります。本居宣長(もとおりのりなが)は「古事記伝」の中で「河海に因りて持ち分けて」として、河を男神、海を女神とされています。

 

この夫婦神さまは伊耶那岐命(いざなぎのみこと)さまと伊耶那美命(いざなみのみこと)さまの国生みを助けられました。

速秋津日子神さまが「河の側」を、

速秋津比売神さまが「海の側」を持ち分けて、

河に係る神さまや海に係る神さま、

水源に係る神さまなど水に縁のある

計8柱の神さまをお生みになりました。

 

 

「水戸(みなと)」とは河口であり水門(みなと)のことです。水門(みなと)というのは川と海の接点です。一方は陸地側、もう一方は海面側に分かれていて、またそれが入れ子になっているという観点が働いています。河と海とに分担し、海面の波立ち、風の様子、水源の神さまなどをお生みになられたとする伝承は古代人の発想法がしのばれます。

 

 日本書紀の一書(あるふみ)では男女の区別はなく、「水門神等、速秋津日命と号(もう)す。」と記載があります。また、大祓詞には速開都比咩(はやあきつひめ)という速秋津比売神さまの別名が記されています。

 

大祓詞では「荒塩(あらしお)の塩(しお)の八百(やほ)道(ぢ)の八(や)塩(しお)道(ぢ)の八百会(やおあい)に坐(ま)す 速開都比咩(はやあきつひめ)と云う神、持ちかか呑(の)みてむ。」とあります。塩は潮であり海水を表し、海の潮流がたくさん集まりもみあうところに坐す神さま=速開都比咩(はやあきつひめ)の神さまが海に流れ出た罪・穢れを勢いよく呑みこんでしまうことが示されています。「かか」は古代では蛇(へび)のことで、「かか呑み」とは「蛇のように大きな口を開けて丸呑みする」ということです。神名からも神さまのいる場所も海の側である点が一致しています。

ですが、罪穢れをかぶかぶ呑み込んでしまうという祓(はらえ)の神威(かむい)を示す点が速秋津日子神さまとは大きく異なっています。「住吉大社神代記」にも「六月御解除(みはらえ)。開口(あきくち)水門(みなと)姫(ひめ)神社」(和泉国で祀る)とあり、解除(はらえ)の神さまとなられています。

 

 本来、河口の守護神でしたが、

大祓(おおはらえ)の罪穢れ(つみけがれ)を流す場所が河であり、

それが流れ流れて河口へ

そして海へとたどって行きます。

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そこで大きな口を開けて呑み込まれるということから、

速秋津比売神さまが大祓の神さまとされているのでしょう。

 

 また、伊耶那岐命(いざなぎみこと)さまが黄泉津国(よもつくに)で御身が汚れてしまったとお思いになり、その汚れを日向(ひむか)の橘(たちばな)の小戸(おど)の阿波岐原(あはぎはら)の中つ瀬で洗い流す=禊祓(みそぎはらえ)をされた時にお生まれになった神さまが「伊豆能売神(いずのめのかみ)」で罪穢れを清める神とされています。この神さまが速秋津比売神さまともされています。

 

本居宣長(もとおりのりなが)は「古事記伝」の中で、大祓詞に記されている速開都比咩(はやあきつひめ)さまが潮の八百会に坐ることに注目されて、速秋津日子神、速秋津比売神の二柱神は「水戸の神」でありながら、「潮の八百会(あの世とこの世の境)に坐す」神であり、「河よりでる所と、彼方へでるところの差こそあれ、ともに同じく「水戸」なる古伝の趣の妙なる事のかくの如し。よくよく味わうべし。」と著されており、この神さまのご神徳の広大さを説かれています。

 

 

お祀りされている神社としては

 速秋津日子神さま・速秋津比売神さまとして

   隅田川神社(東京都墨田区)

   甲波宿禰(すくね)神社(群馬県渋川市)

   水戸神社(茨城県水戸市)

   その他各地の 水神社

 速秋津比売神さまとして

   安福(あふく)河(か)伯(はく)神社(宮城県亘理郡)

などがあります。

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