012.あめのくひざもちのかみ

・水源に関わる神さま 

   速秋津日子神さまと速秋津比売神さまの御子神さま方

    天之久比奢母(あめのくひざもちのかみ)

    国之久比奢母(くにのくひざもちのかみ)

 


 

 

 最後に天之久比奢母智神(あめのくひざもちのかみ)さまと国之久比奢母智神(くにのくひざもちのかみ)さまについてのお話しします。この2柱の神さまもまたお名前が対(つい)になっているので、一緒に取り上げさせて頂きます。

 

○天之久比奢母智神(あめのくひざもちのかみ)

  名義ですが、「天之(あめの)」は山や崖などのように地上から突き出て天空に接するものを表しています。「久比奢(くひざ)」は「汲(く)み瓢(ひさご)」、「杙瓢(くひひさ)」(柄(え)のついたひょうたんで「杓(ひしゃく)」)や瓢箪(ひょうたん)(ひさご)の約した言葉と考えられます。「瓢(ひさご)」は単に「ひさ」とも言いました。水を汲むのに用いる器である提子(ひさご)・柄杓(ひしゃく)は「ひさご」の転じた言葉です。

 

「皇太神宮儀式帳」に「さくこしろ五十鈴(いすず)の宮に御食(みけ)立つと打つなる比佐(ひさ)は宮もとどろに。」(六月十七日、御食奈保良比(みけなほらひ)の歌)とあります。「御食(みけ)立つ」とは「神さまが御食を振る舞われる」こと。「比佐(ひさ)」は「ひさご」です。 また、「瓢葛(ひさかた)の天の梯建(はしたて)」に例もあります。

 

「くひひさ」が「くひさ」に約されることは認められるとしても、なぜ「くひざ」と濁音になるのかという疑問が残りますが、これは次の「母智(もち)」の鼻音「母(も)」の逆行同化によるものであろうと言われています。

 

  本居宣長の古事記伝では「久比奢母智(くひざもち)」とは「汲匏持(くみひさごもち)」であると解釈しています。ひさごで水を汲んで施すことを司る神さまであるとしています。これらのことから、天之久比奢母智神(あめのくひざもちのかみ)さまは「山頂に降る水を汲む柄杓(ひしゃく)持ちの神さま」であることがわかります。

 

 

○国之久比奢母智神(くにのくひざもちのかみ)

 

名義ですが、「国之(くにの)」は「天之」に対する言葉で「地上」を表しています。

 「久比奢(くひざ)」や「母智(もち)」につきましては天之久比奢母智神(あめのくひざもちのかみ)さまと同様です。これらのことから国之久比奢母智神(くにのくひざもちのかみ)さまは「地上の水を汲む柄杓(ひしゃく)持ちの神さま」神さまということを表しています。

 

上記のことからこの2柱の神さまは「ひさごで水を汲んで施すことに功徳のある水徳」の神さまであることがわかります。

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延喜式祝詞の鎮火(ほししずめ)祭(のまつり)に

『よみの枚坂(ひらさか)に坐りまして思ほしめさく「吾(あ)が名(な) 妹(せ)の命(みこと)の知ろしめす上つ国に、心悪しき子を生み置きて来ぬ。」と宜(の)りたまいて、返りまして更に生みたふ子 水の神、匏(ひさご)、埴山姫(はにやまひめ)、川菜(かわな) 四種の物を生みたまいて、「この心悪しき子の心荒びるは、水、匏(ひさご)、埴山(はにやす)姫(ひめ)、川菜(かわな)をもちて鎮めまつれ」と事教え悟(さと)したまいき』とあります。

 

  これは、黄泉の国から戻って来た伊耶那岐命(いざなぎみこと)さまが水の神(罔象女神(みずはのめがみ)さま)、匏(ひさご)(水を汲む道具、ふくべ)、埴山姫(土の女神、火を鎮める力がある)、川菜(水菜。水を含んでおり、火を鎮める力がある。)を新たに生み、お産まれになった時に妻の伊邪那美命(いざなみのみこと)さまの陰部(ほと)を焼いて死なせてしまった子=火之迦具土神(ひのかぐつちのかみ)さまを「心悪しき子」と呼び、もしこの「心悪しき子」である火の神の心が荒んだときには鎮火の呪力、霊力を持つこれら4つのものによって鎮めよと教えています。鎮火祭(ほししずめのまつり)の主神である火の神を悪く言い、火を消す力のある水の神などの出現をいうのは、もともと火を鎮める神さまをお祭りする主旨だからです。

神楽歌(かぐらうた)の人長(にんじょう)が持って舞う採物(とりもの)として「杓」があり、その歌に「大原や、せが井の清水、杓(ひさご)もて、鶏(とり)は鳴くとも遊ぶ 瀬は汲め」とあります。杓(ひさご)は水汲みの器であって、神聖視されたので、神楽の採物とされました。このように「ひさご」は古くから 水に関する呪力・霊力をもつものとして扱われてきました。

 

 

お祀りされている神社としては

        特にはございません。

 

神社仏閣に参拝に行かれたとき手水舎で手や口をすすいで清めたり、ご先祖さまのお墓参りの時など柄杓(ひしゃく)を手にされることがあるでしょう。そのような時に天之久比奢母智神(あめのくひざもちのかみ)さまと国之久比奢母智神(くにのくひざもちのかみ)さまに思いをはせてみてはいかがでしょうか。

にほんの水

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